この図は総務省「平成21年 総務省情報通信政策局情報通信経済室 平成18年度 情報流通センサス報告書」からの抜粋です。このグラフが表しているのは、インターネットの普及により、生活者が消費できる情報の量はほぼ変わらないけれども、その一方でアクセス可能な情報が飛躍的に高まり、情報を発信しても生活者に届きにくい時代が来た、ということを示しています。
このような時代に広告会社に強く求められているのは「メッセージを埋もれさせずに、確実にターゲットに届けるにはどうしたらいいのか?」ということです。情報を受け取るデバイス、アプリの多様化に加え、生活者とのコンタクトポイントの複雑化の中で、どのようにすれば生活者にメッセージを届けることができるのか?
この課題に対しての解決策を見出すことがコミュニケーション・デザインを設計する上で問われています。
そして、いま、インターネット・コミュニケーションでは、拡散から浸透へのパラダイムシフトが起こっているんじゃないか?
という仮説を検証してみたい、ということではじめてみたのがこの試みです。
ことの始まりはこうです。
たまたま友達のところへ遊びに行った帰り、そこは沼津だったのですが「鮨を食べていこう!」と思い立ちました。ネットで“沼津 鮨”と検索すると約36万件もヒットしました。とてもじゃないけど全部は見られませんし、最初のページだけ見ても沢山ありすぎて判断が付きません。結局、その友達に電話して、おすすめの店を教えてもらったという顛末でした。
上記のような検索の仕方がそもそも旧いという時代みたいです。
今の世代はTwitterやInstagramのハッシュタグを使って検索し、情報を得ているようです。
つまり、選択肢があまりにも多いと、人はなにを選んでよいのかわからず、結局の所、知り合いに尋ねる、という至極当たり前の結論を持ったわけです。
そこでふと思いました。ネットはもはや情報のバズ化でなく信用度を求められているんじゃないか?ならばそれを検証できないか?
だったら自分たちでなにかサイトを立ち上げて、有益な情報を発信してみよう、と、思い立ったのがきっかけです。
そこで編集者の生まれ育った街、千葉県市川市にある本八幡(もとやわた)に白羽の矢を立てました。本八幡のローカル情報を発信し、わずかでもいい、地元のお役に立ちたい、本八幡の活気づくりの一助になれたらという気持ちもあります。
正しくは本八幡という地名はありません。JR総武線本八幡駅、都営新宿線本八幡駅、そして京成八幡駅というのがあるだけです。行政上の区分がないので、どっからどこまでを本八幡とするのか迷いましたが、編集者が自転車で無理なく行ける範囲、という、ゆるい括りにしています。
検証サイトのタイトルを“Insight, MOTO8 Local & Beyond”と名付けました。本八幡という街の文化や食、遊びやくつろぎをピックアップしていくつもりです。“& Beyond”としたのは、たまには本八幡以外の情報もやるよっていう意味です。このサイトはネット上の「頼れる知人」になろう、というのが成長プロセスのゴールです。
編集方針はこうです。(目指したいのは雑誌「暮しの手帖」の商品テストです)
- 徹底した取材に基づく事実の積み重ね
- 取材はすべて自腹
コミュニケーションの核とはその言葉通り“COMMON”、共有です。読み手との対話が成立しなければ広告は機能しないでしょう。
ネットでの拡散、いわゆるバズ化はある程度数値化できます、しかし、浸透力、どのくらいの深さ(信頼度)で人に伝わっているのか、計測できない感覚値こそ、実は大切なことにそろそろ気づいてしまっているんじゃないか?
企業のメッセージを情報の洪水の中に埋もれさせず、確実にターゲットに届けるにはどうしたらいいのか?
ほんの小さな試みですが、こんな検証実験ができればというのがわたしたちの思いです。